2012年6月13日水曜日

紅茶作り

私、子どもの頃友達の家で生まれて初めての紅茶を口にした。恐らくそれほど高級な物ではなかっただろうと思うのだが非常に強い芳醇な香りを感じそれが感覚にインプリントされてしまった。以来、紅茶を飲む機会は増えていったがあれほどの感覚をくすぐるフレーバーに出会ったことがない。その後再び紅茶をよく飲むようになったのは学生の頃だった。普段はティーバッグで済ませていたがバイトで稼ぎがあったときはトワイニングの缶を何種類か買い込んでいた。入れ方も色々と凝ったが友人のN君の入れた物にはかなわなかっった。その後しばらく紅茶のことは意識しなくなってしまったが、最近いろんな銘柄を試すようになった。一応有名な物で美味いと言われるものも試したが、幼い頃に体験したあの感覚をくすぐるような香りには出会っていない。 近年感じるのだが、世界的に有名な産地の物よりも国産の例えば静岡産の物が私の幼児体験を彷彿とさせる味と風味を持っていたように思う。そんな中、以前から知ってはいたが紅茶作りにチャレンジしてみることにした。インドやスリランカとは気候も風土も違うが出来たての紅茶は香りが良いのではないかと期待しつつ、一昨日畑の周囲に残っていた茶の木から茶葉を1㎏程度摘んできた。この茶の木は志摩町越賀の在来種でずうっと緑茶として製茶していたものだが緑茶も紅茶も由来は同じ、ただ製法が異なるだけと言うことなので試してみることにした。一晩風通しの良いところに放置し、昨日それを1時間かけて手で揉んだ。この工程がなかなか骨の折れる仕事で、15分くらい揉んでいると汁が出てきてまとまりやすくなってくるが、揉む手が疲れてくる。途中かなり休憩を取りながら元の形とは違った状態になるまで揉み続けた。これで良いのだろうかという不安はあったが、今度はそれを発酵させる工程になる。25℃くらいの温度にすると、茶葉自体の酵素による発酵熱も加わり熟成するそうなのだが、生憎昨日は6月にしては気温が低かった。見回すと冷蔵庫があったので、その外枠の上部なら温度を保ってくれるのではないかと気づいた。この発酵の善し悪しが紅茶の味や風味を左右するらしい。5時間ほどその状態をキープし、次は乾燥の工程に入った。100℃の温風は家庭にはないのでフライパンにキッチンペーパーを敷き極弱火で乾燥させた。電子レンジやオーブンまで駆使しどうにか紅茶らしき物が完成した。早速試飲したが、色は薄めだったが味と香りは私の幼少時の味覚をよみがえらせてくれるものだった。入れる時間を長めにしたり、ミルクを入れたり色々と試してみた。ビギナーズラックで、たまたま今回上手く行ったのかも知れないし、次回同じ物が出来るかどうかわからないがmade in Shimaで美味い紅茶が出来ることがわかった。地産地消、耕作放棄された畑の周囲には茶の木がいっぱいあるし最近は春先の一番茶しか摘まれていない事を考えると二番茶三番茶を加工し志摩の特産品になっても良いのではないかと思った。思いつきはさておき、夏場に出た芽を紅茶にすると良い物がとれると言うことなのでその頃また作ってみたいと思った。

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