2012年8月14日火曜日

初盆

 初盆の「水向け」の法要が棲鳳寺という私の町の寺で行われた。天気予報によると短時間ではあるが豪雨があると言うことであったが何とか小雨でお天気は持ってくれた。新亡の家族は寺の本堂でお経を頂き、我々縁者は外で受けることになる。水向けに訪れた縁者で境内はほぼ埋め尽くされていた。喪主の名前が読み上げられると設けられた祭壇に水を手向ける。自治会の方から新亡の名簿は配布されていたが、知っている人が亡くなってしまったことをしみじみと感じた。ここに集まった皆さんは古くからの町の住人が殆どで知り合いや友人もいて軽く目で挨拶を交わした。私、一応仏教徒だが宗派が違うのでこの寺の檀家ではないが親戚は全てここの檀家である。この町は一つしか寺がないので住職もこの時期には多忙を極める。
 お盆前後の予定はこれで全て済ませたので寿司を作った。先祖様へのお供えも兼ねるので精進も一緒に作ることになる。今年も何回か作ってきているが、夏場のこの時期ウルメ鰯の寿司は欠かせない。真鰯は近年不漁が続き資源が心配されるが私の町ではあまり生食してこなかった。生食と言えばもっぱらウルメ鰯だった。鰯の中でも少々水分が多い方だが、鮮度の良いものに塩を当てて2時間ほど置き酢で締めるのだが、そのことによって味が濃くなり青魚特有の生臭みも取れる。お寿司やさんに行き食べる方法もあるが、ウルメの寿司ばかり10個も注文するのもはばかられる。食べたいだけ食べようと思えば自分で握った方が食欲を満たせる。もともとこの寿司は昔から各家庭で作られてきたものだ。私にとって夏のウルメ鰯は寿司にしたり、青紫蘇と生姜を利かせた酢みそで食べたり、この時期のソウルフードである。昔から弱った体に良いとされてきているが滋味に富む食べ物であると信じている。昨日採ってきた新生姜をスライスして寿司の上に乗せたが、この味と香りにはついつい食指を動かされてしまう。新鮮で香り高い生姜の辛さと風味は青魚の雑味を洗い流し口にえも言えない爽やかさを醸し出してくれる。この地に生まれてきたことに有り難さを感じる一瞬である。

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