隣の茶園のオーナー夫妻が「邪魔するんなあ!」と言いながら菜園に来られた。ここ何年か「今年で最後」と言いつつも、この前茶摘みを済まされたばかりである。聞くところによると、この冬歩けなくなってしまったらしい。夫妻と言っても齢は既に80歳を越えている。畑や田圃は長年鍛え続けた体で年齢以上に元気に耕作を続けておられたが、米も昨年から作っていないと言うことだった。
茶畑のお茶も摘み取って飲んでと言われたが、最近我が町の製茶工場も二軒続けて廃業となってきている。これらの工場では25㎏単位で製茶してくれていたが、これからはJAだけになってしまう。JAだと最低でも50㎏摘まねばならない。せっかくのお言葉であったが、一日に50㎏の生芽を摘むのは不可能である。
問題は管理されなくなった畑である。恐らく10年も経たないうちに原野と化して行くだろう。当然日照のことや害獣のことが気になってくる。ここの茶園は我が家の菜園の南側にあるので少し気になっている。伸びた木は遠慮なく伐採してくださいと言うことなので、この冬から菜園の周囲の木も手入れをして行かねばならない。
農業に従事してきた方が、耕作を断念しなければならなくなってきているのはさぞかし心残りなことであろう。子どもたちはいるが、後継者にはなっていないし、私から見れば今まで獲得してきた農業技術が伝わっていかないことに無念さが残る。私のような駆け出し者から見るとこの夫妻は栽培技術のデパートのような方々なのだ。
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