今年は「隼人芋」を栽培した。甘藷畑はハスモンヨトウやコガネムシの発生で散々だったがコンテナに3杯ほど収穫があった。それにしても甘藷の栽培種はとても増えたように思う。志摩の農家さんが昔から伝えてきた在来種はすっかり姿を見なくなったようだ。近所の農家さんのお薦めは紅小町という関東系の品種だ。また、知人はベニアズマを推奨している。私は鳴戸金時という品種が自分の畑に合っていると信じ、これを中心に栽培している。これらは焼き芋やふかし芋にして食べるが、上記「隼人芋」は粘質で加工用に適している。収穫後一月ほど寝かしデンプンが糖化してから皮を剥き一、二時間ほど茹でたものを適度な厚みにスライスしてから干せばできあがりになる。志摩では「きんこ」という名称で売られ最近の自然食ブームが追い風となり人気の商品にまでなってきている。
芋は水田として使える農地が少ないこの地では主食を補う重要な作物だった。「きんこ」は保存食としてあるいはおやつとして食べられてきたが甘く美味しいお菓子が簡単に手にはいるようになってきてからは地位が段々と低下していった。しかし昔ながらの自然な甘みや健康食品としての評価が認められ、近年特産品としての人気が高まってきている。
私もそれほど毎日食べたいとは思わないが子どもの頃よく食べていたおやつに幾ばくかのノスタルジーを感じ、朝から芋を加工している。お店でも形の良いものが袋詰めされ売られているが、以外と高い値が付いている。
|
ニッキンチョ |
さて、この干した芋の名称だが私の町では「ニッキンチョ」と呼ばれている。昔志摩町の友人が津の下宿に持ってきていたが彼も同じように呼んでいた。一般に志摩では「きんこ」と呼ぶのが通例だ。私、単純に「煮たきんこ」→「煮きんちょ」→「にっきんちょ」と訛ったものと勝手に理解している。干した芋はその分甘さがぎゅっと凝縮して美味く感じる。また、カリウムが豊富なため体内に取り込んだ余分なナトリウムとも拮抗作用があり体にはよさそうだ。