ドキュメント番組「フジコ〜あるピアニストの軌跡〜」を視聴してから既に10年以上経つがフジ子・ヘミングの演奏を耳にしてからリストの音楽を聴いてみようと思い続けていた。私とリストの接点と言えば、未だ若い頃徹夜でリポートを書かねばならないことがあった。夜が明けた頃眠気と疲れのためボーッとしていた私に突然リストのカンパネラの演奏が爽やかに聞こえてきた。当時、リポートを書きながらFM放送を流しっぱなしにしていたわけだが孤独感を紛らわすために何でも良いから音が流れることに頼っていたのだと思う。あの時のカンパネラは今でも耳に焼き付いている。その後もリストを聴く機会はあったが、関心を持ち始めたのはフジ子・ヘミングのドキュメントを見てからであった。演奏家にも強い関心を持ったからだと思うが、彼女の語録に「私はミスタッチが多い。直そうとは思わない。批判する方が愚かしい」「ぶっ壊れそうな鐘があったっていいじゃない、機械じゃないんだから」「一つ一つの音に色をつけるように弾いている」そしてサンソン・フランソワが好きだという。フランソワは私も大好きである。
で、最近リストの作品を網羅した30枚組のCDを廉価で入手し、時間のあるときに聴いている。時代的にどうしてもショパンと比較して聴いてしまうがどちらかというと自分の感性はショパンを求め続けてきた。詩情や美しさから見るとロマンチシズムに溢れたショパンに軍配をあげてしまうが壮大なスケール感のあるリストも捨てがたい。そもそも比較してしまうのが間違いだと思うが、若い頃受けた衝撃は忘れられないものである。
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