2008年6月11日水曜日

楽器の話

 今日は所用があって「志摩ギターを楽しむ会」のO氏の店に寄らせていただいた。用はすぐに足りたので世間話をしているうちに河野賢さんの楽器の話になった。生前の河野さんの楽器は実績もあり日本を代表する制作家であった。私の友人も何人かは河野の楽器を購入している。今は何かと材料が手に入りづらく制作家の苦労も察するものがある。さて、その楽器が売り出されていたと言うことであった。楽器は単なるブランドで選ぶわけにはいかない。ネックの状態やとりわけ表面版の状態など視認できるものはわかるのだが、バランスや音色、弾きやすさそして何よりも数年弾き込んでから結果が出るものだから難しい。
 私の先輩のI氏のブログに大学のクラブの後輩が量産品の方がいい音を出している・・・というくだりが書き込まれていたが、バンバン鳴るという視点で見ればそうなのかも知れない。
 楽器へのこだわりはなかなか語り尽くせるものではないが、その楽器のスペックに見合うだけの技量を持っているのかと尋ねられれば、俯いてしまう私である。
 自分も最初は名古屋の松岡の工房を訪ねて量産品を求めた。考えてみれば学生であった当時3ヶ月以上の生活費に相当する出費で思い切って買えたものだと今でも思っている。親には申し訳ないことをした。数年これを引き続けフレットもかなりすり減ってしまったが後輩がぜひ譲ってほしいと言うことで持っていた全ての楽譜と共に使ってもらうことになった。今でもネットなどで同じ楽器が出てくるとときめくことがある。
 その後ヤマハの量産品を長いこと使っていた。かなりの時間の経過はあったが少しゆとりが出てきた頃、今や日本を代表するギタリストの藤井敬吾氏のお世話で小森廣氏の楽器を手に入れることができた。冒頭の河野賢氏の高弟に当たる人である。北海道に住まれていて今年いっぱいで制作は終えられるそうである。
 私なりにかなり満足している楽器である。音にメリハリがあり決して華やかではないが、しまりのあるしっかりとした音を出してくれる。音色は録音したり大きめの会場で弾いたとき違いがわかるような気がする。弦は高音はプロアルテ、低音弦はオーガスティンの赤ラベルを張っている。残念なことにここ数年音を出してあげる機会が無く、ただ楽器の状態を維持している程度である。
 「志摩ギターを楽しむ会」で会員の方がこのギターを弾いて下さったらうれしい限りである。
 またいつか楽器については書いてみたい。

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