2008年10月2日木曜日

Shin-ichi Fukuda plays 19Century Guitar というCDについて

 発売されてから10年以上経過しているCDであるがお気に入りの一枚なので書き留めておくことにします。演奏家の福田進一氏は日本を代表するギタリストの一人で輝かしい経歴の持ち主でもあります。今回注目したいのはこのディスクに収められているSor,Coste,Mertz,Aguadoの曲の演奏である。決して難度の高い曲ではないと思うのです。私のようなアマチュアでさえチャレンジしてみた曲も中にはあります。 福田氏はきわめて自然に流れるように奏でてくれているのである。例えばハープの演奏家がこれらの曲を演奏してもこのように聞こえてくるだろうと思われるような演奏なのです。言い換えれば私たちがよく耳にしてきたギターの名演奏家のものは何となくギター臭が表に出ていたように思えてならない。かの巨匠セゴヴィアがまさしくそのいい例だと思うのです。ロマンチックで切なく甘く魅力をたたえた演奏なのであるが、スペインの民族楽器の印象は拭いきれない。高弟のジョン・ウィリアムスでさえ師との決別をうたっているが、ジョンのものよりも福田の演奏には私を惹きつけるものがある。 
 さて、このディスクであるが演奏にラコートの古楽器が使われている。今から150年も前に作られた楽器であるが音色が素晴らしい。現代の楽器よりもひとまわり小さく恐らくコンサートホールで聴けばダイナミズムに欠けるかもしれないが、ギターの音色の美しさを伝えてくれている。この時代のギターはそれまでの複弦の5コースのものから6単弦に移行しつつあったという時代の背景がある。福田は爪も指頭から出るか出ないかくらいに切りつめて演奏しているようである。 あまりライブラリーから引っ張り出して聴くことのなかった19世紀からロマン派にかけての音楽であるがこの秋は何度も聴いてみようと思った。
 古楽といえば、伊勢の広垣氏が来年の5月16日にリュート奏者の中川祥治氏を伊勢市川崎のホールに招聘しコンサートを企画しているようである。中川氏は私達が未だ学生の頃、大学に招いたことがある。当時はギターとリュートの二本立てで確か180番教室という大きな所で演奏をしていただいた。 先のことであるが楽しみである。

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