先日ハートネットTVという番組で大王町の登茂山にある「エレマン プレザン」のことが取り上げられていた。主宰されている佐藤肇さん御夫妻の実践が事細かく紹介されていた。ダウン症の子どもたちが絵画制作に取り組んでいるという内容だ。描きたいから描くのだが何の作為もない無垢の作品群には私たちに訴えかける何ものかが感じられる。もう十数年前になるが私は何度が氏のアトリエを訪れたことがあった。そのときはこの子供たちの作品には何かが隠されているが、それが一体何なのか今はわからない。しかし、この作品たちの言わんとすることは何なのか、今は説明ができないが今後それを探っていくといわれていた。あれから十年以上、時が経過しているが近年いろんな場所で氏は作品を世の中に紹介し問いかけている。
当時は海外でもこの活動が紹介されていて反応もあったようだ。私もこの子どもたちの無垢の作品を見せていただいたとき言葉では説明のできないような何かを強く感じたことを思い出した。
私が感銘を受けたのは子どもたちの作品もさる事ながら佐藤夫妻のお人柄であった。番組の中でも御夫妻のそれが垣間見られる場面がいくつもあった。私はその時初対面であったが、まずは丁寧なお出迎えをしていただいた。アトリエの二階に通していただいたが、掛け心地のいい手作りのアームチェアに座らせていただき、しばし無垢の絵のお話を伺った。お茶と手作りのゼリー寄せをいただいたが恐らく奥様の手作りだと思われる小皿に装ってあった。わたしをもてなすためにご多様な中時間を割いて冷菓を作ってくださっていたのだろう。近頃どのお宅にお邪魔しても店頭で販売されているものを器に盛って出していただくことがほとんどだ。私にとっては御夫妻の作られた冷菓が最上のおもてなしだった。
「おもてなし」のスピリットは最近よく耳にするオモテナシとは少し違うような気がする。