去る11月26日(土)阿児アリーナで第10回のコンサートを催しました。
小林さんは父君が編曲された「さくら幻想曲」をメインに弾かれました。女史は小俣町に在住の稲葉さんの名器を所有されています。氏のテクニックと楽器の調和が素晴らしく高音域の伸びは深く染み渡りました。楽器も演奏者もアレンジも地元、音楽の地産地消という感がしました。
私たちの会に津市から毎回参加してくださいっているDr.井本氏は11弦ギターを二台持参してくれました。グノーのアベマリアとバッハのメヌエットを演奏していただきました。旧知の間柄なのですが多忙な中練習をしていただき演奏に臨んでくださっています。氏のギター演奏には熱いものをいつも感じます。いつも演奏を挟んで楽しい話をしてくれていますが会場をほんわかとしたムードに包み込んでくれています。今回は医療現場の話と最近の学生の話をユーモアたっぷりに披露してくれました。このミニ講演も私たちの会の楽しみの一つになっています。
広垣氏はバッハのリュート組曲、スカルラッティのソナタ等を中心に聴かせてくれました。ゆったりとしたテンポでプレリュードに入られ3/8拍子からの対位法で作られている部分は声部が明快に聴き取れるように細部にまで指のコントロールに気を配られた演奏だった。この組曲のサラバンドはかつてDr.井本氏が深く感銘され私たちにその美しさを語ってくれたことを思い出した。
私もこの中のアルマンドには深い思い入れがあり聴くたびに若い頃の熱い思いがよみがえる。氏にはリピートを省略せずに全て弾ききって欲しいとお願いしていたのだが、このステージ連続でフルに弾き続けるのは負担だという話だった。ご来場者の方からは「リュート組曲、良かったよ」という言葉をいただいた。
フィナーレは「故郷」「赤とんぼ」「とおりゃんせ」と童謡をアレンジしたデュオであった。いつも意欲的な曲を紹介してくださっている吉川氏と広垣氏の息のあった二重奏であった。アレンジも二人で随所にされていて私たちを飽きさせない演奏であった。
アンコールは広垣氏による「グリーンスリーヴズ」であった。90分に渡る演奏会であったが、何しろ全てが手作りのコンサートである。会場の片づけも有志の方々が申し出てくださった。いつも早めに来場いただき最後の片づけまでしてくださっている中北氏や中嶋氏をはじめ会員の皆様に支えられている。
この会は演奏会が終わってもロビーでの余韻を楽しんでいる。今回は演奏者同士が楽譜の交換をされていた。この会で演奏される曲は演奏者がそれぞれにアレンジを加えられたものが少なくない。これも魅力の一つだと思っている。
次回は来年の春、桜の花が咲く頃を予定している。再会を約した。